思春期の子供が朝起きれなくて不登校ぎみになって
いるなら、それは「起立性調節障害」という病気かも
しれません。
この「起立性調節障害」という病気はなかなか周囲に
理解してもらえず本人はもちろん、親御さんも辛いものです。
原因と治療方法、周囲に理解してもらうためにやるべきことに
ついて見ていきましょう。
目次 (クリックできます!)
・子供が朝起きれないのは起立性調節障害かも
中学生や高校生の子供が朝起きれないってことは
ありませんか。
健康な子供でも朝起きるのが苦手という場合はあります。
朝起きれなくて次の症状があれば起立性調節障害の可能性があります。
・寝つきが悪い
・めまい、立ちくらみがする
・頭痛がある
・午前中は調子が悪く起きれない
・食欲がない
この中でも「めまい、立ちくらみ」があれば、起立性調節障害の
疑いがあります。
起立性調節障害は小学校5年ぐらいから中学生、高校生に多く
不登校の4割はこの病気だと言われています。
起立性調節障害は何科で診てもらうの?
睡眠外来とか精神科と思いがちですが、まずは小児科を受診するのがベストです。
意外と思われるかもしれませんが、起立性調節障害について詳しいのが小児科なのです。
小児科以外の医師はこの病気についての知識が乏しく、
うつ病などと誤診されることがあるのです。
とにかくまず初めは小児科を受診してみて、必要があれば
精神科とか心療内科を紹介されるはずです。
・起立性調節障害の原因、治すには?
原因
原因は一言で表せば、自律神経の乱れにあります。
小学校高学年、中学生、高校生といった思春期になると
周囲の目を気にしたり、友人関係、恋愛関係、成績、部活での人間関係など
いろんなことに過敏になります。
そのため、ストレスとなり自律神経が乱れるわけです。
性格的にも「くよくよしやすい」「内気で優等生」といった子供が
この病気になる傾向があります。
他にも夜更かしをしたりで不規則な生活をしていると
この病気になりやすくなります。
最近の子供はゲームとかで室内で遊ぶようになり、外で遊ぶことが
少なく運動不足になっています。
これも「めまい」や「立ちくらみ」といった起立性調節障害の
症状を発症しやすくなります。
遺伝が原因になることもあります。
どちらかと言えば、母親が過去に起立性調節障害に
なったことがあったりします。
治すには
自律神経の働きを正常にすることが大切です。
薬物治療と薬物を使用しない治療法があります。
薬物治療
薬物治療では血圧を上げる薬が処方されます。
その子の体質や状況によっては処方されないこともあります。
起立性調節障害になると自律神経の乱れから血圧が下がり
脳内の血液が減って体内時計が正常に作動しなくなり
朝起きられなくなります。
薬物以外の治療
・適度な運動をする
激しいスポーツをするのではなく、ウォーキングが最適です。
毎日決まった時間にすると体のリズムが安定してきます。
運動することによって、ストレス発散になったり自律神経のバランスが
良くなります。
また、ストレッチも血流がよくなるのでお勧めです。
・規則正しい生活をするように努力する
起立性調節障害を患っている人は、夜型タイプで朝起きるのが遅く
なる傾向があります。
そこで、毎日徐々に早く床につく習慣にしていくのです。
早寝早起きを目指して努力が必要です。
・朝の起床時に日光を浴びる
朝起きる時に日光を浴びると、交感神経が働いて
自律神経の乱れを改善すると言われています。
子供が朝起きられなくてもカーテンを開けて朝日を浴びさせます。
・ブルーライトを浴びる時間を減らす
スマホ、パソコン、テレビを長時間使っていると、眠気を誘発する「メラトニン」というホルモンが分泌されにくくなり、不眠になったり体内リズムを乱します。
特に夜のブルーライトを浴びる時間を減らすことが大切です。
鉄分やストレス軽減、快眠作用のある「L-テアニン」という成分を配合した
サプリもおススメです。
治るまでどのくらいの期間が必要なのか
起立性調節障害に特化した薬はなく、個人差もありますが治すには時間がかかります。
早い人で数か月、長い人で何年もかかることがあります。
完治するのは難しく、症状が軽くなっている人は多いです。
大人になっても完治しておらず、軽い症状が残っている人も
いますが、大半は問題なく普通の社会生活が送れています。
親は起立性調節障害の子供にどう向き合うべきか
親からすれば、朝起きない子供を見ていると「だらしない」「怠けている」など
イライラとしがちです。
それに子供の高校や大学などへの進学のことも心配になるものです。
改善するのに早道になるかどうかは親の接し方によって変わってきます。
ではどのように接したらいいのかについてお伝えしていきます。
・同級生など他の子と比べない
「〇〇さんはちゃんと学校に行っているのに」などの発言は厳禁です。
何よりも親がこの病気に関して理解してあげたいのです。
小児科医が書いた本もありますのでおススメします。
起立性調節障害がよくわかる本 [ 田中英高 ]
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・子供の話に耳を傾ける
子供にとっては親が最も味方になって欲しいのです。
どんなにささいなことでも子供の話はきちんと聞いてあげましょう。
・声かけをする
時折、「調子はどう?」などと声をかけてみましょう。
もし子供が起きれない様だと「今日もゆっくりとしていいよ」と
言えるぐらいになりたいものです。
・無理強いをしない
子供が朝起きられなくても無理に起こして学校へ行かそうとしないことです。
本人は学校に行きたくても、体が思うようにならないで辛い思いをしているのです。
子供が中学生だと高校受験の心配、高校生だと中退しないか心配に
なると思います。
しかし、通信制高校に入学・転校という道もあります。
通信制高校に行っても難関大学に進学している人も多数います。
・起立性調節障害を周囲に理解してもらうには?
この病気はまだまだ知名度が低く、医師や看護師でさえ知らない人も少なくありません。
そのため、学校関係からは「あいつはサボっている」「楽をしていてずるい」などと
とられがちです。
学校関係など周囲に理解してもらうには、小児科を受診して
診断書を書いてもらって学校の先生に見せるなり提出するべきです。
また起立性調節障害についての本も一緒に提出するといいでしょう。
起立性調節障害がよくわかる本 [ 田中英高 ]
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実際、私の長男の同級生にこの病気になって不登校になっている子が
いました。
現在中学3年で小学校5年から朝起きられなくなって、この病気であることが
わかりました。
5年生から中2の2学期ごろまで不登校の状態が続き、他の同級生からは
いろいろと心無いことを言われていました。
中3になってからは症状も軽減されて、ほとんど毎日登校できているそうです。
・まとめ
もし思春期の子供が「朝起きれない」かつ「立ちくらみ、目まい」という
症状があれば起立性調節障害を疑い、小児科の受診をお勧めします。
早期改善には親をはじめ、周囲の理解が必要です。
決して怠けたりサボっているわけではないので、十分に
理解してあげたいものです。